今回紹介するのは君島大空が2023年にリリースした「映帶する煙」です。
君島大空について
君島大空は、1995年生まれのシンガーソングライター/ギタリスト。
フリー・フォークやフリー・ジャズの影響を受けた緻密なギタープレイを軸に、エクスペリメンタルやアンビエントの要素を加えた唯一無二のサウンド感が魅力的なアーティストです。
弾き語りや宅録的な制作の楽曲のほかに、「合奏形態」というバンド形式で録音された楽曲もあり、バンドメンバーがこれまた豪華。
ドラムの石若駿は、現在の日本の音楽シーンを牽引するジャズドラマー。ベースは現代の邦楽ロックの代表的な存在であるミクスチャーロックバンド「King Gnu」の新井和輝。ギターは中村佳穂など多くのアーティストのサポートを行う西田修大。
それぞれジャズにバックボーンを持つバンドメンバーによって演奏がされるので、「合奏形態」の楽曲は、ロックなバンドサウンドの中にもジャズ的な熱を感じられます。
「映帶する煙」について
「映帶する煙」は君島大空が2023年1月にリリースしたファーストアルバム。
収録曲は、以下の12曲です。
1.映帶する煙
2.扉の夏
3.装置
4.世界はここで回るよ
5.19℃
6.都合
7.ぬい
8.回転扉の内側は春?
9.エルド
10.光暈
11.遺構
12.No heavenly
「19℃」「都合」「光暈」「No heavenly」は合奏形態の楽曲。「No heavenly」以外の3曲は1発撮りでの録音だそうです。
カセットテープで作曲したという表題曲「映帶する煙」から静謐なフォーク「扉の夏」へ続く流れでアルバムが始まります。静かで綺麗なアルバムかと思いきや、ネオソウル的で上品な「19℃」、シューゲイザー的なカタルシスを感じる「都合」と展開していき、ジャンルとしては結構バラバラな楽曲が並びます。
「都合」なんか特に、オルガンのサウンドが非常に良い味を出していて「日本語ロックの大名曲」としての品格すら感じます。
しかし、中性的な歌声だったり、繊細なギタープレイだったりによって、多様なサウンド感の中でも「耽美な雰囲気」という軸が感じられて、個人的にとても好きな一枚です。
ジャケットにめちゃくちゃ影響されている気もしますが、夏の夕方〜夜に聴きたい作品ですね!
プラス1ソング
君島大空 – 遠視のコントラルト
2019年、フジロックに出演した際のライブパフォーマンス映像です。合奏形態のライブだからこその熱量が感じられ、非常に良いです。雨もドラマチックな雰囲気を出していて良いですよね。
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